小説「ロボットと帝国」

ロボットと帝国〈上〉 (ハヤカワ文庫SF) | アイザック アシモフ, Asimov, Isaac, 芙佐, 小尾 |本 | 通販 | Amazon

アイザック・アシモフの「鋼鉄都市」、「はだかの太陽」、「夜明けのロボット」と続いたロボットシリーズも本作で一応最後。

あらすじ

「はだかの太陽」で初登場時33歳だったグレディアも230歳になっていた(宇宙人の寿命は約400歳)。ファストルフ博士の主導で地球からの宇宙への移民は急速に進み、対して宇宙国家は低迷していた。そんな時、グレディアに会いたいというロボット研究所の研究員レヴュラー・マンダマスが現れ、自分はグレディアとイライジャ・ベイリの隠し子の子孫ではないかと迫る。グレディアはこれを否定し、話し合いは平行線を辿る。マンダマスは追求を諦めてもう一つの要件、地球から進出した開拓者で貿易商人のD・G・ベイリがグレディアに会いたいことを伝えた。

登場人物

  • グレディア・デルマー:ソラリアからオーロラに移民してきた女性で230歳になる。
  • R・ダニール・オリヴァー:ハン・ファストルフ博士が生み出した精巧な人型ロボットでグレディアが所有している。
  • R・ジスカルド・レベントロフ:ダニールと同様にファストルフ博士によって作られた非人間型ロボットでグレディアが所有している。
  • D・G・ベイリ:貿易商人でイライジャ・ベイリの子孫。
  • イライジャ・ベイリ:前作までの主人公で寿命により亡くなった。
  • ベントリィ・ベイリ:イライジャの息子で植民地政府の高官。
  • ハン・ファストルフ:宇宙国家オーロラのロボット工学博士。政界でも屈指の実力者で新地球派だったが天寿を全うした。
  • ケルドン・アマディロ:ファストルフ博士と敵対するロボット工学博士で反地球派。
  • レヴュラー・マンダマス:ロボット工学研究院。グレディアの子孫でアマディロに協力する。
  • ヴァジリア・エイリアナ:ファストルフ博士の娘で、父親に対して憎悪している。

感想

突然200年弱が経過して、驚きの連続が続く本作。イライジャの子孫がやってくるわ、ソラリアではロボットが人に襲いかかってくるわと、今までのロボットシリーズ以上に物語の動きが激しい。D・G・ベイリに連れ出されたグレディアはダニールとジスカルドをお供に旅立つのだが、実際のところダニールとジスカルドのロボット同士の会話が多く、2体のロボットが実質的な主人公を務めている。

イライジャのその後については、グレディアやダニールの回想という形で語られる。特にイライジャが臨終の時にダニールと話す様子は、一緒に行動していた壮年の頃と比べてしまって辛いものがある。

200年経っても地球に対する危険意識と悪意を持ち続けたアマディロも、執念深さもここまでくると感慨深い。一方、グレディアは今まで人生に意義を見出せずにいたが、今回の旅で自身の使命を見出すことが出来た。人生が長かろうが短かろうが、何を達成するために生きるのかが大事だと考えさせられる。

ロボットシリーズの4作目になるが、旅をしながら一連の決着があり、ロボットシリーズでは一番面白かった。

以下はネタバレ要素なので、未読の方は見ないようにした方が良い。

ネタバレ
アマディロとマンダマスは地球の地殻に存在する放射能を放出し、人の住めない惑星へ変えてしまう恐ろしい計画を実行しようとしていた。ダニールとジスカルドはそれに気付いて止めようとしたが、結果的に失敗する。アマディロを精神操作で傷付けてしまったジスカルドは、自身の持つ精神感知と操作の能力をダニールに伝えた。またイライジャが最後に言い残した、個人より人類を守ることを重んじる「第零法則」を使うに言い残し、機能を停止した。
ダニールはパートナーのイライジャを失い、同じロボットで長年一緒にいたジスカルドを失い、いずれはグレディアをも失うことになるだろう。また「第零法則」によって人類の守護すべき存在になった。親しい人を失い続けながらも、人類の守護者として生きていくことになるダニールはとても寂しそうだ。

最後のシーンがもう悲

オオオオオォォォォォーーーーー!

いやいやいや、流石に泣きすぎでは?

ところでグレディア230歳なのにとても元気そうだね。

・・・まさか子孫とまで良い感じの関係になるなんて思わなかった。

グス・・・・人間の寿命が80歳、宇宙人は400歳デスカラ、$230 \div 5 = $46歳くらいなのかもしれマセン。ただグレディアも作中で言っていた通リ、体の損耗したパーツを人工器具に交換しているそうナノデ、医療技術による恩恵が大きいのだと思いマス。

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