小説「鋼鉄都市」

鋼鉄都市 | アイザック アシモフ, 福島正実 | 英米の小説・文芸 | Kindleストア | Amazon

鋼鉄都市 – Wikipedia

アイザック・アシモフのロボット長編作。前回取り上げた「われはロボット」の後の世界の話になる。

あらすじ

ニューヨークの刑事、イライジャ・ベイリは本部長のジュリアス・エンダービイに呼び出されて、ある捜査を担当するように命じられる。その捜査とは地球に居住している宇宙人(初期の移民で先に宇宙に出た人類)のロイ・ネメヌウ・サートン博士が殺害された事件の捜査だった。捜査するにあたって、エンダービイから見た目がほぼ人間に違いR(ロボット)・ダニール・オリヴォーをパートナーにして行うように言い渡した。しかしベイリはロボットが嫌いだった。

登場人物

  • イライジャ・ベイリ:主人公でニューヨーク市警の刑事。
  • R・ダニール・オリヴァー:ハン・ファストルフが派遣したイライジャのパートナーで人間によく似たロボット。
  • ジュリアス・エンダービイ:ニューヨーク市警本部長でイライジャの上司であり同期。
  • ロイ・ネメヌウ・サートン:地球の宇宙市に済む社会学博士。
  • ジェゼベル・ベイリ:イライジャの妻でジェシイが愛称。
  • ベントリイ・ベイリ:イライジャの息子。
  • ハン・ファストルフ:宇宙国家オーロラのロボット工学博士。

感想

物語の主人公であるイライジャは、ニューヨーク市警の刑事とあって読者に近い存在と思いきや、彼が暮らす地球環境は現実の世界と全く異なっているため、相違点も多い。例えば彼ら地球人は鋼鉄のドームの中で全人口が暮らしていて、ロボット以外ドームの外の屋外に出ることがまったくない。むしろドームの外に出ることに対して恐怖を感じており、全人類が軽度の引きこもり状態になってしまっている訳だ。

一方で宇宙に進出した人類の宇宙人は、地球に対して技術面で優位に立っており、寿命も数百歳まで伸ばすことに成功していた。地球を支配しており、対立関係にある。

余談だがこの地球と宇宙の対立構図が、後の日本のアニメ作品「機動戦士ガンダム」などに影響を与えたのかもしれない。宇宙に移民したジオンが地球連邦に対して優位になるべく、レーダーやミサイル誘導を無効化するミノフスキー粒子モビルスーツといった革新的な発明を行うのが似通っている。スペースコロニーもガンダムのオリジナルではなく、アメリカの物理学者ジェラード・K・オニールのアイデアである。

オニール・シリンダー – Wikipedia

推理物と言うよりは、地球に住む人々が今後どうなっていくのかといった壮大なスケールの話に繋がっていくので、SFの方が圧倒的に強い印象を受けた。もちろんサートン博士の殺害経緯を、イライジャやダニールと共に推理するのも面白いのは間違いない。

最初に「鋼鉄都市」を読んだときは、あまり深く考えずに読んでいたが、後のロボットシリーズやファウンデーションシリーズを読み終えると、再び本作が読みたくなった。壮大なシリーズのスタートだとも言える本作を読み終えたなら、後のシリーズも是非読んでアイザック・アシモフの宇宙史にハマってもらいたい。全ては繋がっている。

宇宙人って聞いたとき、キノコとか虫とかアメーバ的なのを想像しちゃったよ。

アイザック・アシモフの一連の小説では、そう言った非人類の宇宙人は登場しまセン。だからこそ、人類の起源はどこかといった問題が後々に登場シマス。

次作:はだかの太陽

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