Crusader Kings 3のレビュー

Crusader Kings III

Crusader Kings(クルセイダーキングス)はスウェーデンのパラドックスが開発している歴史シミュレーション&リアルタイムストラテジーである。

その第3作目が2020年9月に発売され、つい先日Steam版で値引きされていたのでつい買ってしまった。

なのでレビューを書きたい。

ちなみに同社のゲームでは他にStellarisHearts of Iron IV(HoI4)をプレイ済みで、Crusader Kingsシリーズは今作が初である。

同じ中世を舞台にしたゲームとしては、Age of Empire II(エイジオブエンパイア2)や、Stronghold(ストロングホールド)、Medieval 2:Total War(メディーバル2:トーラルウォー)などは遊んだことがある。

Crusader Kings IIIとは?

舞台となる世界地図(1066年)

プレイヤーはヨーロッパを始め、北アフリカ、アジアの一部の中から一人の伯爵や公爵、王となり、中世ヨーロッパの激動の時代を生きる。

特にゲームとしての目標は設定されておらず、一応は家(一族)の繁栄を目指すという方向でデザインされている。

全てのキャラクターには寿命があり、また戦争や暗殺、病気などの様々な要素で死ぬ。

もちろんプレイヤーのキャラクターも例外ではない。

しかし家に属する子や兄弟などの一族の者が生き残っている限り、プレイヤーキャラを切り替えて再開できる。

一族全ての者が死亡するor全ての称号を失えばゲームオーバー

家の中で相続できる人間がいなくなって初めてゲームオーバーになるが、指定したキャラクターでゲームの続きを遊んだり、観察者としてその後の世界を見守ることも可能だ。

ちなみに867年か1066年の一方から開始して、1453年が終了する年と設定されているが、それ以降も継続して遊ぶことは出来る。

一地方の小さな領主として慎ましく生きるもよし、夢は大きく世界征服を狙うもよし、この非常に高い自由度がCrusader Kings IIIの特徴と言えよう。

良かった点

多種多様でユニークなキャラクターたち

加齢による変化

動的な3Dのグラフィックによってキャラクターが表現されており、成長や老化から病気や負傷までの細かい変化がよく表現されている。

そして登場するキャラクターはまさに膨大で十人十色である。

見た目は美男美女から醜男醜女、内面も性格や特性、性癖、技能、宗教など、誰一人として同じ人間は存在しない。

さらに能力はもちろん見た目も遺伝するので、結婚相手によって生まれてくる子供も千差万別なのも凄い。

不謹慎だが、ドラゴンクエストモンスターズの配合を人間版にしたような感覚に近い。

ただし親よりも平凡だったり、下手すれば愚鈍な子供が生まれることもあり、配合と違って上手く行かないことも多い。

本作ではキャラメイクでオリジナルキャラクターを作って、既存のキャラに置き換えて遊ぶことも可能だ。

美男美女や個性的なキャラを作ってもよし、異世界モノのライトノベルに登場しそうなチートレベルのキャラクターを作って中世を無双してもよし。

逆に無能キャラを作って、キャラの能力に頼らずプレイヤースキルで生き延びさせるのも面白い。

シンプルかつスピーディーな戦闘

戦闘画面
戦闘結果

昔、同じような中世ヨーロッパを舞台にしたMedieval 2というRTSで遊んだことがある。

3Dグラフィックの戦闘シーンこそ迫力があって美しかったものの、戦闘そのものに時間が掛かることもあり、中盤以降は自動戦闘でサッサと終わらせていた。

本作の戦闘は実にあっさりしており、画面遷移することはなく地図上でそのまま戦闘に入る。

戦闘中は特に指示をすることなく、時間経過で勝敗が決する。

撤退などの指示は出来ない。(撤退可能だった!)

人によってはあっさりし過ぎると思う人もいるかもしれないが、シンプルで良かった。

中世の歴史に興味が出る

高校で習った世界史の内容を忘れる(そもそも勉強してない説)程度になのだが、遊んでいるうちに自分や他のキャラクターに対して興味が湧いてくる。

なぜノルマンディー公がイングランド王国の請求権を持っていて攻め込んでいるのか(ノルマン・コンクエスト)、なぜイベリア半島でターバン巻いた人が領土を半分ほど持っているのか(レコンキスタ)、なぜ十字軍が発生したかなど、調べたくなる。

歴史に興味を持つキッカケとしては良さそうだ。

日本語MOD対応

ゲーム内の百科事典

公式では日本語に対応していないが、有志が作成した日本語化MODが存在しており、記事を作成した2021年9月24日時点で翻訳率90%とほぼ網羅している。

Steamワークショップ::Japanese Language Mod

一部の人名が追いついていないようだが、ゲームのシステム周りはほぼ完璧に翻訳されており、英語が苦手でも発売当初に比べて断然に遊びやすくなっている。

SteamであればMODの導入も以前のような別途ファイルをダウンロードとして、指定されたフォルダへコピーなどといったことは必要なく、ワークショップでサブスクライブして、Crusader Kings IIIの起動ランチャーでチェックを入れればすぐに起き変わる。

大変便利になったものだ。

翻訳されている方々にはこの場を借りて感謝したい。

悪かった点

チュートリアルやヒントが十分でなく複雑な仕組み

継承(相続)やフックの使い方、ストレスなど、チュートリアルで習う以外で必要な内容が多い。

パラドックスのゲームに共通していることだが、遊びながら覚えていくことを開発者は期待しているのだろうけど、自分したいことはどこで行えば良いのか、注意深く探すのは結構大変で根気がいる。

パラドックスのゲームの中では本作は(相対的にではあるが)簡単な部類だと思う。

一般的なゲームの中ではまだまだハードルは高く、万人受けはしにくいと思う。

人によっては面白いと感じる前に辞める人もいそうだ。

宗教的な犯罪

個人的な殺人以外に、多様な性的嗜好、愛人関係、近親相姦、私生児、食人といった要素が登場し、プレイヤーを苦悩させる。

どうしても苦手な人もいるだろう。

通知が微妙

封臣や廷臣、君主の死が通知されず、気がついたら旅立っていることがよくある。

個別にピン留めすることで、個々に追うことは可能。

ただ通知の全体的な設定が欲しい。

敵軍の殲滅が面倒

戦闘において、初期戦闘フェイズと追撃フェイズで倒しきれなかった場合、敵軍は逃げ出すのだが敗走中は戦闘出来ない。

そして以外と敗走中の無敵期間が長めなので遠方に逃げられることが多く、追いかけて殲滅するのが大変面倒である。

史実との違い

ウィリアム1世の間違い?

ノルマン・コンクエストでノルマン朝の初代イングランド王になるウィリアム征服王はウィリアム1世のはずだが、ゲームでは2世になっている。

息子には確かにウィリアム2世はいるが、1060年頃に生まれておりこの時は6歳である。

翻訳ミスかと思ったが英語でもウィリアム2世だった。ゲーム本体のミスだろうか。

他にもゲーム上の都合で貴族階級が簡素化されているなど、史実と異なる部分は多々あると思われる。

そのままゲームの内容は鵜呑みにせず、史実との違いを調べて見る必要がある。

Duke of Normandy – Wikipedia

これは私の無知によるものだった。

コメントで指摘のあったとおり、ロロの息子がノルマンディー公としてはウィリアム1世(ウィリアム・ロングソード)である。

征服王としてのこのウィリアムは、ノルマンディー公としては2世になり、イングランド王としては1世である。

勝手にゲーム側のミスと決めつけて、誠に申し訳ない。

エンドゲーム

領土を得るには基本的に請求権が必要で、帝国となるゲーム終盤でも一気に塗り絵をする(侵略戦争を仕掛ける)ということは出来ない。

世界征服を目指す人は、膨大なプレイ時間と相当な根気が必要になるので一応注意して欲しい。

ちなみにStellarisではコロッサスや危機といった形で、終盤戦もダレることなく楽しむことが出来た。

日本がない

中世において、外国との接点が少なかったためか、日本や朝鮮半島は地図上に存在していない。

もうちょっと世界地図が広ければと思う。

ちなみに有志のMODによって、中世の日本を舞台にプレイすることは可能だ。

Steamワークショップ::Shogunate

まとめ

向いている人

  • 自分のやりたい内容をゲーム内やWikiなどで調べられる
  • トライ&エラーを楽しめる
  • 偶発的なマイナス要素のランダムイベントを楽しめる
  • 中世の歴史が好き
  • 戦争が好き
  • ロールプレイングが好き
  • 陰謀を企てるのが好き

向いてない人

  • 調べるのが苦手
  • 完璧な結果を求める(セーブ&ロードをしたい)

感想

ゲームの難易度としては他のシリーズよりは簡単で、「普通」の難易度でも伯爵から帝国にのし上がるのはそう難しくない。

資源もゴールド、威信、信仰点(信仰心)と非常にシンプルにまとめられており、管理も楽である。

個人的にはHoI4>Stellaris>Crusader Kings IIIと、パラドックスの中では一番簡単な印象を受けた。

ただし出産や不倫、死亡イベントなどのキャラクターに関するランダム要素が非常に多く、とにかく振り回される。

プレイヤーキャラが病気で早くに死亡するのは珍しいことではない。

むしろ行動を強制できるプレイヤーキャラはマシな方で、問題は後継者を含めた一族の者である。

身内同士で戦争したり、愛人や私生児を作ってたり、「裸で何が悪い!」とか言って別の異端な宗教を始めたり、人を暗殺してたり、人を食べてたり、それらが原因で投獄されてたりと本当に色々と裏でやらかしてくれる。

初期の頃は相続で国土が分割されるのも、中世ではよくあること。

そういったマイナス要素も含めて、起こったことを受け止めて、上手く行かないことを逆に笑いながら楽しめる人はこのゲームに向いていると思う。

完全を求めてセーブ&ロードを繰り返すのはコンセプトに合ってないし、あまり現実的でないから楽しめないと思う。

個人的には久々に飛び抜けて面白いと思えるタイトルで、50時間程度しか遊んでいないがまだまだ楽しく遊べそう。

何かビビッと来るものがあれば、是非遊んでみて欲しい。

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