ラヴクラフト小説(クトゥルフ神話)の解説

二十世紀アメリカが生んだ怪奇文学の巨星、ハワード・フィリップス・ラヴクラフト。
彼が築いた幻想と恐怖の宇宙は、今なお世界中の読者を魅了し続けている。
ラヴクラフトの物語に通底するのは、人間存在のちっぽけさと、この世界の背後に広がる無名の恐怖である。
科学が進歩し、人間がすべてを理解したかに思える時代にあっても、ラヴクラフトは、宇宙的な未知が人の理性を凌駕することを描き出した。
彼の創作世界は後に「クトゥルフ神話」として体系化され、異形の神々と禁断の知識が織りなす神話体系となった。
その作品群には、深海の都市インスマウス、狂気に満ちた南極の山脈、夢の中の異世界カダスなど、読者の想像力を刺激する数多くの舞台が登場する。
そこに描かれるのは、人間の理解を超えた存在との邂逅と、その果てに訪れる狂気と破滅である。
本解説は、ラヴクラフトの代表作から隠れた佳作、そしてダンセイニ風幻想譚や書簡・資料までを網羅し、彼の世界観の広がりと深化を余すところなく伝えている。
未知なるものへの畏れ、時を超える夢の記憶、そして名状しがたい恐怖。
この扉を開ける読者は、人智を越えた暗黒の宇宙の深淵へと一歩を踏み出すことになる。
ラヴクラフト全集1

インスマウスの影(The Shadow over Innsmouth)
壁のなかの鼠(The Rats in the Walls)
死体安置所にて(In the Vault)
闇に囁くもの(The Whisperer in Darkness)
ラヴクラフト全集2

クトゥルフの呼び声(The Call of Cthulhu)
エーリッヒ・ツァンの音楽(The Music of Erich Zann)
チャールズ・ウォードの奇怪な事件(The Case of Charles Dexter Ward)
ラヴクラフト全集3

ダゴン(Dagon)
家のなかの絵(The Picture in the House)
無名都市(The Nameless City)
潜み棲む恐怖(The Lurking Fear)
アウトサイダー(The Outsider)
戸口にあらわれたもの(The Thing on the Doorstep)
闇をさまようもの(The Haunter of the Dark)
時間からの影(The Shadow Out of Time)
ラヴクラフト全集4

宇宙からの色(The Colour Out of Space)
眠りの壁の彼方(Beyond the Wall of Sleep)
故アーサー・ジャーミンとその家系に関する事実(Facts Concerning the Late Arthur Jermyn and His Family)
冷気(Cool Air)
彼方より(From Beyond)
ピックマンのモデル(Pickman’s Model)
狂気の山脈にて(At the Mountains of Madness)
ラヴクラフト全集5
