爆光フラッシュライトTrustFire T21R-JPをレビューする
前回、国産だと思って買ったフラッシュライトは中国製の疑いが濃厚で、ライトとしての品質も悪く採用を見送った。
色々調べていくうちに、TrustFireという製品のT21Rというフラッシュライトの評判が良かったので買ってみることにした。
早速レビューしていこう。
目次
TrustFireとは?
日本語のHPはあるのだが、どうやらこれは日本での正規代理店らしく、株式会社ライクス・ジャパンが運営している。
ちなみに住所も書かれていたので調べてみると以下のような場所である。
何だろう、前回と似たような雰囲気がするのは気のせいだろうか。
さらに詳しく調べてみると、中国の企業であることが分かる(分かりにくいがケースにも住所が書いてある)。
Shenzhen Trustfire Technology Co., Ltd. – LED Flashlight/LED Bicycle Light, Battery/Charger
というわけでコレも中華製フラッシュライトらしい。
設立は2007年で、中国での名称は「深圳市诚信神火科技有限公司」。
最初からそう書いておいて欲しいと思う。
どうやら中国企業は、自らが中国であることを隠そうとする傾向にある。
中国であることがブランドイメージとしてマイナスであることを、当人らが一番よく分かっているようだ。
T21Rのレビュー
T21RとT21R-JPの違い
Amazonの販売店であるTrustFireDirect-JPによる回答は以下の通り。
この度は数あるショップの中から当店へお問合せを頂き、誠にありがとうございます。
Amazon.co.jp: カスタマー Q&A
お客様より頂戴した懐中電灯に関するお問合せにつきまして回答させていただきます。
「T21R-JP」と「T21R」の明るさ、照射距離等は同じです。「T21R-JP」懐中電灯はバージョンアップグレードです。
肝心のどこがバージョンアップしたのかが、まるで分からない謎の回答で困惑する。
とりあえずT21RとT21R-JPは、基本的に違いはないと見るべきだろう。
良かった点
4段階の明るさ調整
明るさを確かめるべく、Canon E80D+SIGMA 18-35mm F1.8 DC HSMで撮影して比較してみた。
カメラ側で明るさが自動的に変わらないように設定は以下の内容で固定した。
カメラ | Canon E80D |
レンズ | SIGMA 18-35mm F1.8 DC HSM |
絞り値 | f3.5 |
露出時間 | 1/80s |
ISO | 6400 |
焦点距離 | 18mm |
ライトを全く点灯させていない状態で、ほとんど見えないことが分かるかと思う。
非常に分かりにくいが、中央少し右側に物干しスタンドがあることが分かる。
かなり暗く近距離の手元辺りしか明るくならない。
逆に言えばそれほど眩しくないので、相手に位置を知らせるのには便利だろう。
電池を節約して使うのに適したモード。
これでも十分過ぎるくらい明るい。
まさに爆光で昼間のような明るさを発揮する。
説明書に書かれていた明るさや連続点灯時間は以下の通り。
モード | 明るさ(ルーメン) | 連続点灯時間 | 照射距離 |
---|---|---|---|
弱 | 2 | 52日間 | - |
中 | 100 | 29時間 | 45m |
強 | 425 | 6.3時間 | 86m |
最強 | 2600 | 3.4時間 | 228m |
非常に幅広い明るさを4段階で調節可能なので、あらゆる機会に適合に対応出来ると思う。
参考までに単4電池4本で駆動する、LED LENSER T7(最大200ルーメン)との比較もしておく。
こちらも十分に明るく実用的。
どうしても単純な明かりの強さとして比較した場合、リチウムイオン電池を搭載したTrustFire T21R-JPが圧倒的なのがよく分かる。
サイズ
身近な物として、どこの家庭にもある単3電池と比較した。
長さとしては単3電池2.5本弱(約13cm)と言ったところ。
太さについても撮影したので参考にしてもらいたい。
LED LENSER T7と比較した場合、長さはほとんど同じくらいで、径に関してはLED LENSER T7がやや太くなっている。
総じてコンパクトで携帯しやすいサイズだと言える。
USB-C対応
USB TypeCに対応しているので、最近のスマートフォンを使っている人にはありがたい。
ただし端子部分が狭く、ケーブルによっては差し込み口が大きいと差し込めない場合がある。
USBケーブルが1本付属しているので、手持ちのケーブルが合わないから充電出来ないという心配はないから安心して欲しい。
悪かった点
中国製であることとそれを明記していないこと
最初に断っておくと、中国製品を全て否定している訳ではない。
例えばモバイルバッテリーで有名なスマートフォン関連商品などの開発と販売を行うAnkerは、中国メーカーである。
しかし不具合があった場合はリコールを行うなど、商品の品質の高さと共に安心出来るサポート体制を作り、現在では世界的に見ても信頼されている企業だと思う。
しかし前述の通り、「令和最新版」などとタイトルで闇市と化しているAmazonで、多くの中国メーカーが中国であることを明記せず、大量の似たような粗悪品を販売しているのが現状である。
中国企業であることを明記しない、悪い言い方をするなら隠そうとしている時点で、どうして客からの信用を得られるのか。
特にリチウムイオンバッテリーは、本来不安定で危険な物であり、最悪の場合は爆発し火災の原因になる。
保護回路で安全対策を厳重に行うことで、初めて安心して使うことが出来る物だ。
つまり安全性は製造元のメーカーに依存している。
フォーカス機能がない
LED LENSER T7にあるような調光機能がないため、絞って強くするといったコントロールが出来ない。
明るさそのものは何ら問題ないのだが、狭い範囲で使いたい時は困るかもしれない。
どちらでもない点
爆熱
最強モードだとかなり発熱する。
実験はしていないが、燃えやすい黒い紙だと着火するくらいの光量及び熱量がある。
簡易着火具として使える可能性があるし、逆に言えば火事になる可能性もある。
例えばフローリングの床に最強モードでライト面を下に立てて置くと、非常に危険である。
一種の刃物を持っているくらいの意識で取り扱うべきだろう。
護身用(対人・対動物)
タクティカルライトとしても宣伝し売られているようで、中モードでも直視出来ないくらい眩しい。
最強モードだとまさに光の暴力で、向けられた相手にとっては視界が塞がれること間違いなし。
ただしあくまでも所詮は光である。
光源を遮るように手をかざせばライトに近づくことは簡単なので、これで明らかに敵意を持って攻撃しようとしている相手を撃退したりするのはまず無理だろう。
そもそもライトを向けられて逃げ出すような相手なら、防犯ブザーの方が安くて安全(法律的に)で効果的である。
もしアメリカならライトと銃を一緒に用いることで、射撃戦において優位性を確保出来る点では非常に有効だろう。
日本でも警棒と一緒に使用したり、複数人で取り押さえる際には使える。
ただ外出先での護身用として考えた場合、一人かつ単品では効果が薄い。
警棒などの武器をセットで持ち歩こうものなら、一般人なら不審者に襲われるよりも、警察から職務質問を受けた際に銃刀法や軽犯罪法で取り締まられるリスクの方が遙かに高いだろう。
そもそもライト自体、正当な理由がなければ軽犯罪に抵触する可能性もあるし、実際に逮捕されたケースが存在する。
理由なく「懐中電灯」持ってると逮捕される 軽犯罪法違反になる意外な物品: J-CAST ニュース【全文表示】
つまり護身用としてこの製品を含めたライトは、あまり向かないというのが当ブログでの結論である。
感想
コンパクトかつ強力なフラッシュライト。
性能については申し分なく、値段やサイズから考えても、これ以上のライトを探すのが難しいほど優れている。
ただ安全性という点においてのみ、疑問の余地が残る。
繰り返しになるが、リチウムイオンバッテリーは本来危険な代物であり、メーカーが信頼出来るかが最も重要であると断言する。
他の中華製コピー品ライトよりは信頼出来そうではあるが、Ankerほどの実績がある訳ではない。
ちなみにTrustFireのバッテリーは、2017年に静岡県で火災事故が起きたことが報告されている。
バッテリーとは違うが、充電器が爆発したという主張(信憑性は疑わしいが)もある。
WARNING – Trustfire TR-001 Charger | Vaping Forum – Planet of the Vapes
上記の掲示板でも指摘されているが、ブランドの名前にFireを入れているのが、非常識かついやらしい。
英語で火事は”Fire”であるため、火災が起きるかもしれない製品にFireという文字を入れるべきでないし、事故の検索を逃れるために故意に採用したとも考えられる。
これらの点から、改めて中国製品を簡単に信用してはいけないと思った。