小説「ファウンデーション」
アメリカの作家であるアイザック・アシモフの作品で、SFを代表する名著である。2021年中に「Apple TV+」でテレビシリーズ化されるようだ。今回は原作の感想を書いていこう。
目次
あらすじ
第一部 心理歴史学者
若き数学者のガール・ドーニックは、セルダン・プロジェクトのためにハリ・セルダン自身から招待状をもらい、銀河帝国の首都であるトランターへとやって来た。そこでハリ・セルダンと会うが、彼は心理歴史学を用いて、5世紀後のトランターが滅亡していることを予測した。大学で再会することを約束したガールだったが、翌日にセルダンを危険視する公安委員会に拘禁されてしまった。
第二部 百科事典編纂者
ターミナスにファウンデーションが誕生してから50年経った。ファウンデーションの目的とされている銀河百科事典の編纂が行われている中、アナクレオンの太守が王を勝手に名乗り、独立を宣言した。資源に乏しいターミナスは通商ルートをアナクレオンに塞がれているため、アナクレオンと交渉する必要があった。しかしアナクレオンは武力を背景に恫喝し、ターミナスを支配しようと目論んでいた。
第三部 市長
クーデターから30年後、再びファウンデーションに危機が迫っていた。ターミナスに近い「4つの王国」は、ターミナスの技術協力によって力を蓄えていた。ターミナスの若い議員サーマックはハーディンに対して、外交政策の転換を求め、武力によって解決するべきだと迫った。
第四部 貿易商人
貿易商人リマー・ポニェッツは個人カプセルによる親展を受け取った。そこにはファウンデーションのエージェントであるエスケル・ゴロヴが、アスコーンで投獄されたという知らせだった。アスコーンは閉鎖区域で、ファウンデーションの影響力が届かない世界だった。
第五部 豪商
コレル共和国の領域内で、3隻もの貿易船が消息を絶った。貿易船は核爆薬と力場防護装置で装備されており、相手側も原子力技術を保有していないと、拿捕なり撃墜なり出来ないはずだった。市長秘書ジョレイン・サットは、コレル共和国に行ったことのある主任貿易商であるホバー・マロウに、調査の依頼をする。
登場人物
第一部 心理歴史学者
- ガール・ドーニック:田舎の惑星シンナックスで暮らしていた若き数学者。「セルダン・プロジェクト」に参加するようにハリ・セルダンから招待状を貰って、トランターにやって来た。
- ハリ・セルダン:心理歴史学を研究するトランター大学の博士で、心理歴史学の予測によって銀河帝国が滅びると主張している。
- リンジ・チェン:公安委員会委員長。
第二部 百科事典編纂者
- サルヴァー・ハーディン:32歳のターミナス市長で権限が乏しい。
- ルイス・ピレンヌ:百科事典第一財団理事会の理事長。
- アンセルム・オー・ロドリック:プルーマの副太守にしてアナクレオン王陛下の特別使節。軍人。
- トーマス・サット:理事。
- ジョード・ファラ:理事。
- ランディン・クラスト:理事。
- イェイト・フラム:理事。
- ドーウィン:銀河帝国の大臣。
- ボー・アルーリン:ファウンデーションの初期の住人で一流の心理歴史学者。
- ヨハン・リー:ハーディンの補佐役。
第三部 市長
- サルヴァー・ハーディン:62歳のターミナス市長。
- ヨハン・リー:ハーディンの補佐役。
- セフ・サーマック:若い市議会議員。
- ポリー・ヴェリソフ:祭司長。
- レオポルド一世:アナクレオンの王。
- ウェニス:摂政でレオポルド一世の叔父。
第四部 貿易商人
- リマー・ポニェッツ:貿易商人。
- レス・ゴーム:ポニェッツと同じ貿易商人の組合員。
- エスケル・ゴロヴ:主任貿易商に偽装したファウンデーションのエージェント。アスコーンに囚われた。
- アスコーンの大君主
- ファール:アスコーンの寵臣。
第五部 豪商
- ホバー・マロウ:主任貿易商人。
- ジョレイン・サット:ターミナス市長秘書。
- パブリス・マンリオ:市長の内閣の外務長官、教会の大主教、寺院総長、など多くの役職を兼務する。
感想
章をまたぐことに数十年単位で時が進み、人がドンドン年老いて世代交代していくのが印象的な作品だ。またハリ・セルダンは霊廟で不定期に予言を、ハーディンは危機を乗り越えた優れた指導者としてビルの名前になってたりと、後の世代でも何らかの形で残っていくのも面白い。
軍事力を持たないファウンデーションがその時代に生きる指導者らの知恵によって、上手く立ち回って懸命に生存を模索する。そこに本作の魅力があるように思う。
何でドンピシャでセルダンは未来のファウンデーションのことが分かるんだろう?亡くなる前に録画したヤツなんでしょ?
心理歴史学の予測デスネ。個々人の予測は出来まセンガ、人間社会全体について非常に高い精度の予測を立てられるという特徴がありマス。数学の一分野として描かれていマスネ。