ラヴクラフト小説(クトゥルフ神話)の解説

二十世紀アメリカが生んだ怪奇文学の巨星、ハワード・フィリップス・ラヴクラフト。
彼が築いた幻想と恐怖の宇宙は、今なお世界中の読者を魅了し続けている。
ラヴクラフトの物語に通底するのは、人間存在のちっぽけさと、この世界の背後に広がる無名の恐怖である。
科学が進歩し、人間がすべてを理解したかに思える時代にあっても、ラヴクラフトは、宇宙的な未知が人の理性を凌駕することを描き出した。
彼の創作世界は後に「クトゥルフ神話」として体系化され、異形の神々と禁断の知識が織りなす神話体系となった。
その作品群には、深海の都市インスマウス、狂気に満ちた南極の山脈、夢の中の異世界カダスなど、読者の想像力を刺激する数多くの舞台が登場する。
そこに描かれるのは、人間の理解を超えた存在との邂逅と、その果てに訪れる狂気と破滅である。
本解説は、ラヴクラフトの代表作から隠れた佳作、そしてダンセイニ風幻想譚や書簡・資料までを網羅し、彼の世界観の広がりと深化を余すところなく伝えている。
未知なるものへの畏れ、時を超える夢の記憶、そして名状しがたい恐怖。
この扉を開ける読者は、人智を越えた暗黒の宇宙の深淵へと一歩を踏み出すことになる。
目次
- 1 ラヴクラフト全集1
- 2 ラヴクラフト全集2
- 3 ラヴクラフト全集3
- 4 ラヴクラフト全集4
- 5 ラヴクラフト全集5
- 6 ラヴクラフト全集6
- 6.1 白い帆船(The White Ship)
- 6.2 ウルタールの猫(The Cats of Ulthar)
- 6.3 蕃神(The Other Gods)
- 6.4 セレファイス(Celephaïs)
- 6.5 ランドルフ・カーターの陳述(The Statement of Randolph Carter)
- 6.6 名状しがたいもの(The Unnamable)
- 6.7 銀の鍵(The Silver Key)
- 6.8 銀の鍵の門を越えて(Through the Gates of the Silver Key)
- 6.9 未知なるカダスを夢に求めて(The Dream-Quest of Unknown Kadath)
- 7 ラヴクラフト全集7
- 7.1 サルナスの滅亡(The Doom That Came to Sarnath)
- 7.2 イラノンの探求(The Quest of Iranon)
- 7.3 木(The Tree)
- 7.4 北極星(Polaris)
- 7.5 月の湿原(The Moon-Bog)
- 7.6 緑の草原(The Green Meadow)
- 7.7 眠りの神(Hypnos)
- 7.8 あの男(He)
- 7.9 忌み嫌われる家(The Shunned House)
- 7.10 霊廟(The Tomb)
- 7.11 ファラオとともに幽閉されて(Imprisoned with the Pharaohs)
- 7.12 恐ろしい老人(The Terrible Old Man)
- 7.13 霧の高みの不思議な家(The Strange High House in the Mist)
- 7.14 洞窟の獣(The Beast in the Cave)
- 7.15 錬金術師(The Alchemist)
- 7.16 フアン・ロメロの変容(The Transition of Juan Romero)
- 7.17 通り(The Street)
- 7.18 詩と神々(Poetry and the Gods)
- 7.19 夢書簡
- 7.20 アザトホース(Azathoth)
- 7.21 末裔(The Descendant)
- 7.22 本(The Book)
- 8 登場人物
- 9 クトゥルフ神話の用語
ラヴクラフト全集1

インスマウスの影(The Shadow over Innsmouth)
壁のなかの鼠(The Rats in the Walls)
死体安置所にて(In the Vault)
闇に囁くもの(The Whisperer in Darkness)
ラヴクラフト全集2

クトゥルフの呼び声(The Call of Cthulhu)
エーリッヒ・ツァンの音楽(The Music of Erich Zann)
チャールズ・ウォードの奇怪な事件(The Case of Charles Dexter Ward)
ラヴクラフト全集3

ダゴン(Dagon)
家のなかの絵(The Picture in the House)
無名都市(The Nameless City)
潜み棲む恐怖(The Lurking Fear)
アウトサイダー(The Outsider)
戸口にあらわれたもの(The Thing on the Doorstep)
闇をさまようもの(The Haunter of the Dark)
時間からの影(The Shadow Out of Time)
ラヴクラフト全集4

宇宙からの色(The Colour Out of Space)
眠りの壁の彼方(Beyond the Wall of Sleep)
故アーサー・ジャーミンとその家系に関する事実(Facts Concerning the Late Arthur Jermyn and His Family)
冷気(Cool Air)
彼方より(From Beyond)
ピックマンのモデル(Pickman’s Model)
狂気の山脈にて(At the Mountains of Madness)
ラヴクラフト全集5

神殿(The Temple)
ナイアルラトホテップ(Nyarlathotep)
魔犬(The Hound)
魔宴(The Festival)
死体蘇生者ハーバート・ウェスト(Herbert West–Reanimator)
レッド・フックの恐怖(The Horror at Red Hook)
魔女の家の夢(The Dreams in the Witch House)
ダニッチの怪(The Dunwich Horror)
ラヴクラフト全集6

白い帆船(The White Ship)
ウルタールの猫(The Cats of Ulthar)
蕃神(The Other Gods)
セレファイス(Celephaïs)
ランドルフ・カーターの陳述(The Statement of Randolph Carter)
名状しがたいもの(The Unnamable)
銀の鍵(The Silver Key)
銀の鍵の門を越えて(Through the Gates of the Silver Key)
未知なるカダスを夢に求めて(The Dream-Quest of Unknown Kadath)
ラヴクラフト全集7

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