次亜塩素酸水を生成出来る製品が手に入ったのでpHを調べてみた
新型コロナウィルスが流行している中で、消毒用のアルコールやエタノールが手に入りにくい状況が続いている。その中で簡単に生成出来る、次亜塩素酸水に注目が集まっている。
5月4日のこの記事を書いている時点において、次亜塩素酸水が新型コロナウィルスに直接有効だという検証がされていない(エンベローブを持つウィルスなので、既存のウィルス同様に効果があるという主張はある)。よって、そもそも消毒効果があるのかは不明である点は留意してもらいたい。
一般財団法人機能水研究振興財団 新型コロナウイルスに対する次亜塩素酸水の有効性について
だが、何もしないよりはマシだろうということで、今回はこのジアポケットで日々身の回りの持ち物等の消毒を行うことにした。
なぜpHを調べてみようと思ったのか?
除菌・消臭スプレー ZIA pocket(ジア ポケット)- 株式会社フラックス
HP上では、付属品である専用の「ジアソルト」を使用すると水素イオン濃度(pH)が5.0~6.5になるとある。ただ一般に家庭で使用している、普通の食塩で生成した場合についての記載がなかった。
厚生労働省の資料によれば、
強酸性次亜塩素酸水(pH2.7以下):0.2%以下の塩化ナトリウム水溶液を有隔膜電解槽(隔膜で隔てられた陽極及び陰極により構成されたものをいう。)内で電解して,陽極側から得られる水溶液をいう。
次亜塩素酸水
弱酸性次亜塩素酸水(pH2.7~5.0):適切な濃度の塩化ナトリウム水溶液を有隔膜電解槽(隔膜で隔てられた陽極及び陰極により構成されたものをいう。)内で電解して、陽極側から得られる水溶液、または、陽極から得られる水溶液に陰極から得られる水溶液を加えてものをいう。
微酸性次亜塩素酸水(pH5.0~6.5):塩酸及び必要に応じ塩化ナトリウム水溶液を加え適切な濃度に調整した水溶液を無隔膜電解槽(隔膜で隔てられていない陽極及び陰極で構成されたものをいう)内で電解して得られる水溶液をいう。
と定義されている通り、塩化ナトリウム水溶液に無隔膜電解槽という組み合わせでは、これらの次亜塩素酸水を生成するのは不可能であるはずだ。
なので、実際にpHを測って調べてみるしかない。
pHを測定するにあたって
と言うわけで、怪しげなpH試験紙をAmazonで買ってみた。値段は386円。2023年3月17日まで有効らしい。
不安なので、家にある酸性とアルカリ性の水溶液も一緒に試してみることにした。
結果
酢、水道水、水道水+塩で生成、水道水+ジアソルトで生成、ハイター(キッチンブリーチ)で調べてみた。
ハイターとなっているのは、家にあると思い込んで下紙を印刷してしまったため。ハイター=キッチンブリーチと読み替えて頂きたい。
酢:3~4
水道水:6~7
水道水+塩で生成:7~8
水道水+ジアソルトで生成:5~7
ハイター(キッチンブリーチ):14付近
という結果になった。
なお、キッチンブリーチには強力な漂白効果があるため、しばらくすると色が消えてしまった。なので、比較の画像はキッチンブリーチに浸してからすぐに撮影した。
結論
水道水+塩で電気分解して生成した水溶液は、「微酸性次亜塩素酸水」ではなく、「電解次亜水」と呼ばれる弱アルカリ性の水溶液である。
おそらく専用塩である「ジアソルト」にはpHを酸性側に調整するナニかが含まれているのだろうか。
日本機能水学会 次亜塩素酸水生成装置の標準化:JIS B 8701 の制定
JIS B 8701によればpHが2.2~8.6かつ有効塩素が10~100(mg/kg)までを次亜塩素酸水としているので、次亜塩素酸水生成機と名乗る分には問題ないように思える。
ただジアポケット製品HP上の図や説明では、「一般の食塩を使用することで強酸性~微酸性次亜塩素酸水が作る事が出来る」という誤解が生じる恐れがある。
繰り返しになるが、水道水とジアソルトで生成すれば、微酸性次亜塩素酸水は作られる。しかし水道水と一般の塩では電解次亜水になる。
ちなみに類似製品として、既に販売が終了しているが、ヒロセ電機のアクアシュシュという製品があった。
ノロウイルス対策に除菌水生成器「除菌マスターアクアシュシュ」 | 伊藤超短波株式会社 ME課
こちらはちゃんと電解次亜水と説明している。
一度に生成出来る量こそ少ないものの、値段も6,500円(税別)と半分以下と非常にリーズナブルであった。
また中華製の物であればAmazonで3,000円前後で販売している物も多い(信頼できるかどうかはさておき)中で、このジアポケットという製品、国産(組み立ては中国?)の電解次亜水を生成する装置として、定価16,800円(税別)が果たして適正な価格かどうかは、疑問の余地が残る。
電解次亜水でも一定の除菌、消臭効果は期待出来ると思われる(JIS B 8701参照)。これからも石けんやアルコールで消毒しにくい物に使っていこうと思う。