アニメや漫画の生成AIによる実写化の著作権上のリスクについて

ChatGPTの画像処理が飛躍的に向上したことで、アニメや漫画の実写化、あるいは実写のイラスト化が、個人でも容易に行える時代となった。
今回は、そうした技術を用いた創作物において、著作権上どのようなリスクが発生し得るのかについて検討する。
私は弁護士などの法律の専門家ではないため、本稿では主に一般論として述べるにとどめる。
最終的な法的判断は弁護士等の専門家に相談すべきだろう。
実写化画像の公開が法律に抵触する可能性がある場合
アニメのキャラクターや場面、衣装などは、原作の著作物に基づく二次的著作物と見なされる可能性がある。
たとえば特定のキャラクターを明確に再現したり、印象的なポーズや舞台背景、シーンを使用した場合、著作権者の許可なく利用していると判断されるおそれがある。
このような画像を公開・配布・商用利用すれば、著作権侵害に問われる可能性が高まる。
キャラクターの名前やロゴ、衣装の意匠などが商標登録されている場合、それらを無断で使用することは商標法違反となるおそれがある。
商標には出所表示機能があるため、実写化画像が混同を招くと判断されれば、法的な問題に発展する可能性がある。
法的リスクが低いとされるケース(ただし絶対ではない)
以下のようなケースでは、著作権侵害となる可能性は比較的低いと考えられる。
- 個人の範囲に限定された利用である
- キャラクターの特定が困難であり、構図・衣装・顔立ちなどが一般的である
- 著作権の保護期間が終了したパブリックドメイン作品に基づく創作である
ただし、これらのケースであっても、権利者が問題視する可能性はゼロではない点に留意が必要である。
特に注意が必要な行為
- 実写化画像を収益化(YouTube、アフィリエイトプログラム、NFT、グッズ販売等)する行為
- 有名キャラクターの名前・セリフ・設定を明示して画像を公開する行為
- 元キャラクターの特定が容易なほどに類似した画像を生成・公開する行為
特に、元のキャラクターや作品のイメージを損なうような内容であった場合、著作者が名誉毀損やブランド価値の毀損を理由に法的措置に出る可能性もある。
過去には、ある同人ゲームにおいてミッキーマウスの首が吹き飛ぶ描写が含まれていたことから、ディズニー側が激怒し、訴訟沙汰に発展したとの報道もある(実際に訴訟が提起されたかは不明)。
痛いニュース(ノ∀`) : ミッキーマウスの首が吹っ飛ぶ日本の同人ゲームにディズニーぶち切れ訴訟 「600万よこせ」 – ライブドアブログ
対策
明らかに特定キャラクターを基にしていると判断される画像については、公開・配布を控えるのが無難である。
SNS等で公開する際には「ファンアート」や「オマージュ」であることを明示し、誤解を招かぬよう配慮する(ただし、これによって法的な責任が免除されるわけではない)。
著作権者から削除要求があった場合には、速やかに応じる姿勢を取ること(これも免責を保証するものではないが、誠実な対応として望ましい)。
最後に
技術の進化によって創作の幅が広がる一方で、著作権や商標権といった法的側面への配慮もますます重要になっている。
創作活動を健全に楽しむためにも、一定のリスク認識と適切な対応が求められる。