2022年製スーパーカブ110プロ(JA61)にヨシムラのマフラーを付けてみた
ホンダ・カブは、日本において出前や配達、集金業務に使われることが多く、他のバイクに比べて業務用の趣がある。
中でも業務バイクの代表とも言うべきスーパーカブ110プロに、ヨシムラのマフラーを付けてみることにした。
今回はその感想などを書いていく。
【注意:本記事はJA61に機械曲GP-MAGNUMサイクロンが装着出来ることを保証するものではありません。】
目次
動機
安全性
一番の理由は安全性の観点からである。
スーパーカブ110プロの純正マフラーは、消音性能が優れているため非常に静か。
そのため他のバイクに比べて、周囲の歩行者やバイク、車に気付かれにくい。
まるでEV並である。
特に鬼ごっこをして遊ぶ子供達に、歩きスマホをしながら周囲に無警戒な若年層、無茶な横断をする高齢者と警戒すべき対象は多い。
事故を起こさないよう常日頃から安全運転を心掛けているが、もう少し存在感があった方が良いのではないかと思った。
音
Youtubeにマフラーの音が色々投稿されている。
聞き比べた結果、ヨシムラが一番良かった。
低音が非常に心地良い。
ちなみにヨシムラ以外に候補として聞き比べたのは、以下のマフラー。
- SP武川:P-SHOOTER(キャブトンスタイル)
- SP武川:SSSマフラー
- RPM:80D-RAPTOR
- NR MAGIC:プラチナビリー
- キタコ:ミニキャブトンマフラー
- モリワキ:メガホンマフラー
- モリワキ:ショートモンスター
カブプロに付けられるかは確認していない。
ちなみに音だけなら次点でモリワキだった。
トルク
性能(主にトルク)が向上するのではという期待は、一応あった。
ただ劇的に変わるとまでは思っていなかった。
スーパーカブ110プロ(JA61)に機械曲GP-MAGNUMサイクロンは装着可能なのか?
JA61に110A-46E-5U80Bを装着出来るかを、ヨシムラへ問い合わせてみた結果が以下の通り。
お問合せいただきましたマフラーは
弊社では以下型式の車両にて取り付け
適合確認を実施しております。車両型式
8BJ-JA59:(22)
2BJ-JA44:(18-21)エンジン型式
JA59E:(22)
JA10E:(18-21)上記型式が両方とも一致した場合は
書類上は適合となっておりますが、
スーパーカブ110プロ(JA61)での取付確認は
行っておらずご装着の可否についてはご案内出来かねます。何卒よろしくお願い申し上げます。
ヨシムラジャパン問合せ窓口の返信より
早い話が検証していないため、答えられないとのこと。
なるほど、とりあえず付けてみるしかない(ぇ
繰り返しになるが、スーパーカブ110プロに取り付けられるとは保証出来ない。
僕は自己責任でやっているので、同じく挑戦する人も失敗しても泣かない覚悟で臨んで欲しい。
取り付けてみた
ヨシムラの案内では、「ホンダ純正ガスケット」が別途必要と書いてあった。
しかしネットで検索しても、純正のガスケットが見つからず、キタコ製で代用することにした。
詳しい取り付け方は、付属の詳細な取扱説明書と、Youtubeなどのマフラー取り付け動画を見てもらった方が分かりやすいと思うので、差し控える。
作業自体は2時間ほど掛かった。
これは僕が作業に慣れていないことと、マフラーのサイレンサーとサスペンションの六角袋ナットが干渉してしまったことが原因だ。
当初は説明書にあった「スーパーカブ110の設定」で取り付けたが、これが良くなかったらしい。
「クロスカブ110の設定」はマフラーサポートが車体から離れるようになっているようで、これで取り付けたところ干渉しなくなった。
キックペダルも確認したが、エキゾーストパイプに当たることはなかった。
良かった点
音
一番気になるであろう音は、動画にしたので再生して聞いてみて欲しい。
付け替えて最初にエンジンを始動した瞬間、あまりの違いに思わず笑ってしまった。
下品な大音量ではなく、控えめだがずっしり響く低音が好印象だ。
確かにこれで走行したところ、こちらの位置を確認する歩行者やバイクが明らかに増えた。
当初の目論見通り、位置を認知されやすくなって安全性は増したと言えそうだ。
ちなみに動画の録音には、TASCAMのDR-mkIIを使用した。
外観
サイレンサーのゴツさや「ヨシムラ」ロゴがとても格好いい。
ただスーパーカブ110プロ純正マフラーもかなり気に入っていた。
全て黒一色というのが渋くて良かった。
悪かった点
音
かなり響く。
住宅街で鳴らすのには、迷惑な音かもしれない。
もちろん政府認証マフラーであるため、決して違法ではない。
それでも、早朝や深夜だと苦情が出そうである。
そして当たり前だが、静かな音を好む人にとっては、ヨシムラのマフラーでもうるさく感じるだろう。
5時間ほど乗り続けてみたが、その後2時間くらいは耳に残った。
「難聴」のリスクを生む、危険な音量とは | NEWS | Hear well Enjoy life. – 快聴で人生を楽しく – | 日本耳鼻咽頭科学会
ちなみにこの「械曲GP-MAGNUMサイクロン」の近接排気騒音(*1)は90dB、加速走行音は77dBである(どちらも22年製スーパーカブ110)。
ドライバーはマフラーの開口部とは逆であり、ヘルメットによって多少は音から保護されているため、数値よりは低くなるはず。
*1:マフラーの開口部から後方45度に50cm離れて測定する
値段
現在の価格は、ヨシムラ公式HPや通販サイトなどで確認してもらえばよいが、非常に高い。エクスペンシブ。
今まで付けてきたバイクパーツでも一番高く、スーパーカブ110プロの車両価格の1/5くらいする。
ただ値段を理由に別のマフラーを選んで、後でヨシムラにしておけばよかったかもしれないと、後悔したくなかったから踏み切った。
少なくとも最高峰のマフラーであるヨシムラで満足出来なければ、他に選択肢はなかったと自分の中で納得出来る。
その他
性能
正直に言って、よく分からない。
60km/hで走行した時の安定性は増したと思う。
気のせいかもしれない。
低速だと、特に大きな違いは感じられなかった。
燃費
ノーマルマフラーは、3,200kmほど走って64.8km/L。
ヨシムラは1,200kmで65.7km/L。
ただしマフラーをヨシムラに換えてから、三重カブミーティングへ行ったのが原因だろう。
ノーマルマフラーを付けていた時は、都市部ばかり走っていて燃費効率が悪かった。
なので燃費に関しては大きな差はないと思う。
位置
純正マフラーと違い、少し上がっているため、サイドバックと干渉した。
サイドバック側を持ち上げることで対応した。
感想
今も昔もうるさいバイクは嫌いだ。
しかしヨシムラのマフラーを取り付けてみて、バイクという乗り物は音も大事なんだと、初めて実感させられた。
バイクに乗りたくなる音、それがヨシムラの機械曲GP-MAGNUMサイクロンなのである。
この選択に至るまで、様々な記事や動画に目を通し、そして聞き比べた。
音を大きくしたいだけなら、他のマフラーで良いだろう。
ヨシムラにする理由は、音の「心地よさ」である。
これに勝るマフラーは他になかった。
マフラーを変えるか悩んでいる人へ
純正品
純正マフラーは、スーパーカブに適合するように作られている。
特にその消音性能は素晴らしく、音の小ささでこれに勝る社外マフラーはない(作ってもまず売れないだろうが)。
マフラーを変えることで、その利点であった静かさが失われることになる。
しかし考えて見て欲しい。
むしろ静かなマフラー音が劇的に大きくなり変化する分、スーパーカブこそマフラーを変えるべきだとも言える。
他の大排気量のバイクは元々、音が大きいので音のみに着目すれば、音色しか変わらない。
音を大きくして存在感を出すという意味で、スーパーカブのマフラー交換は価値があると思う。
僅かな性能の変化
良いマフラーに変えれば、走行性能も向上するというのは、一概に正しいとは言えない。
それこそサーキットで0.1秒を縮めるような走り方をするのであれば、きっと差も出てくるとは思う。
しかし、住宅街の生活道路や幹線道路で制限速度を遵守して走るのであれば、純正マフラーと大きな違いはない。
音にどれだけお金を出せるか
ゆえに交換するかのポイントは、音の大きさと音色にどれだけお金を出せるか。
これが全てである。
迷っている人の参考になれば幸いである。