映画「オッペンハイマー」のレビュー
Amazon Prime Videoで配信されていたので、見た感想を書く。
予告編
感想
構成
原爆の完成くらいまでの過去と、スパイ容疑で査問されている未来の、およそ2つの時間軸で構成されている。
なので注意深く見ていないと、そのシーンがいつ起きた出来事なのか分かりにくい。
おそらくオッペンハイマーの事件について、最低限の知識を持っているだろうアメリカ人が見ることを想定しているからか。
僕みたいに「オッペンハイマー」＝「原爆を作った人」程度の知識しか持たずに見たら、初見では分かりにくい部分が多かった。
2回見ることを前提にしているのかも。
ただ3時間の長い時間を、不思議とダレずに集中して最後まで見続けられた魅力はあった。
家族で見る？
序盤と中盤くらいに濡れ場があって、普通に女性の裸体だけでなく乳首まで露出しているため、家族で見るとたぶん気まずい。
内容としても娯楽として見るのには、難しすぎる気もする。
作品の主張
原爆に対しては否定的な印象を受けた。
そもそもオッペンハイマーは、原爆を投下した後は原爆の国際管理を訴え、水爆の開発には否定的だった。
ただ実際に広島や長崎に原爆を落としたシーンはなく、あくまでラジオで大統領が発表した程度である。
広島や長崎の民間人である被爆者らが受けた現地での壮絶な死と苦しみについては、間接的な表現でそれも僅かでしかない。
原爆の実験によって大きな爆発と爆風の映像を映しているが、熱戦と放射能が撒き散らされたことによる死や恐怖、苦しみ、絶望は全く伝わらない。
なぜ彼が原爆を開発したことにそこまで苦悩するのか、被爆者らの受けた被害を知らずに、理解するのは無理がある。
総評
前述の通り、原爆に対しては否定的な観点の作品であるため、日本人が見てもさほど不快な内容ではない。
原爆の悲惨さ、酷さが十分に伝えられたとは言えず、その点については不満が残る。
全般的には魅力のある映画だったが、原爆の酷さを伝えるという意味では不出来な映画だろう。
良くも悪くもタイトル通り、オッペンハイマーが主役の映画である。
余談
Amazonで配信された当初、吹き替えや日本語字幕が用意されておらず、不評を買った。
映画が簡単な内容ならまだしも、物理学に少し触れた内容まで出てくるため、楽しめない人が続出したようだ。
マイナーなタイトルなら分からんでもないが、これほど大きく宣伝しているタイトルで、チェックせずに公開してしまうAmazonの体制が信じられない。
それくらいの酷いミス。
