「U・ボート」を見て

「笑うノコギリザメ」のマーキング

U・ボート (映画) – Wikipedia

先日、ウォルフガング・ペーターゼン監督が死去されたのと、Amazon Prime Videoの配信停止期限が迫っていたのを機に、映画「U・ボート」を見た。

概要

フランスの港から、ドイツ軍の潜水艦であるUボートが出撃する。

劣悪な艦内の環境下での生活と、敵船団への奇襲、駆逐艦からの反撃と、孤独な戦いを描いている。

感想

映画の冒頭で艦長の乗っている車に、乗組員らが泥酔して車に並んで小便をまき散らすシーンがある。

その後の酒場でも、乗組員らは酒に酔って発砲するなどの乱痴気騒ぎを引き起こすが、艦長は笑顔のまま何も言わない。

それは後にUボート内での過酷な生活が待っていたため、出来るだけ乗組員の自由にさせたかったという意図が分かってくる。

Uボート艦内では、他の乗組員とほとんど距離が取れず、常に近い距離で過ごし、プライベートは一切ない。

トイレは一つだけで、戦闘になると下半身を露出したまま、慌てて持ち場につかなくてはならない。

衛生環境も檄悪で、パンにカビが生えたり、髭は伸びたまま、陰毛に毛ジラミが発生する乗組員まで多数出てくる。

現代人でどれほどの人がこの環境下で耐えられるのだろうか。

僕は1日で気が狂う自信がある。

戦闘においても敵艦を撃沈させて喜ぶのもつかの間、駆逐艦による爆雷によってUボートがダメージを受けて浸水し、死を覚悟させられる。

歴戦の乗組員ですら、神経を切らして、正気を失ってしまう。

全編通して、戦争を賛美する要素はほとんど皆無である。

乗組員らは皆、家族や恋人、女性がいる故郷へと帰りたがっている。

終わりもハッピーエンドとは言えず、最後まで困難な状況だった。

終始、爽快感なぞはほとんどない。

しかし映画で描かれたUボートのリアルな艦内描写は、見る者を圧倒し記憶に残るのは間違いない。

公開は1981年であるが、40年経た今でも色褪せず素晴らしい映画と断言できる。

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