iOS版のシュタインズゲートがセール中だったので感想など

岡部倫太郎「岡部倫太郎」

STEINS;GATE – Wikipedia

土日に少しずつプレイして一応エンディングまで到達したので感想などでも。

 

2009年に箱360版が出てから実に5年も経過しているが、MAGES.が発表しているCHAOS;HEADやROBOTICS;NOTESを上回る人気で、現在までに劇場版やコミック、ノベライズとメディアミックス展開が活発に行われている。

MAGES. – Wikipedia

CHAOS;HEAD

ROBOTICS;NOTES

詳しいあらすじを含めた内容はwikipediaに任せるとして、ネタバレをあまり気にせず感想を述べていきたい。

ゆえにまだ未プレイで、楽しみを奪われたくない方はきっと読まない方が良い。

原作とアニメ版、そして劇場版は面白い、それ以外は基本的に微妙だったという感想だけ述べておこう。

ちなみにSteins;Gate自体はアニメ版から入って、iOS版をプレイ、比翼恋理のダーリンもプレイ済。

変移空間のオクテットは8bit風のゲームをプレイする気にならなかったので、ノベライズされたのでそちらを読んで補完することにした。

負荷領域のデジャヴも映画館で見たし、こちらもノベライズを読破完了。

またリアルタイムで、ゲーム本編をノベライズした円環連鎖のウロボロスを読書中、そちらについても触れたい。

 

1.Steins;Gate本編

まずアニメ版を見た最初の感想は、2002年の「タイムマシン」という映画を思い出した。

タイムマシン (2002年の映画) – Wikipedia

あの映画は、H.G.ウェルズの小説を原作としているが、出だしがまるで違う。

小説は「とりあえずタイムマシン作ったから時間旅行してみるか」という、あまり深い意図を持たずに知的好奇心のまま旅に出るが、映画版では恋人の死をタイムマシンによって改変しようとする。

Steins;Gateも幼馴染みや帰国子女の助手、スーパーハカーの親友などの通称「ラボメン」が悲惨な目に遭い、また近い未来がディストピアに陥るのを防ぐべく、過去にメールや記憶を送ったりして回避しようとする。

そこに至るまでの過程がそこそこ長いので飽きやすいかもしれないが、そこは回りの個性豊かなキャラクターのやり取りや、実在する土地やネットスラングを楽しめればなんら問題ないだろう。

この作品の見所は、実は映画「タイムマシン」の方では、時間を何度遡っても恋人が救えなかったのだが、Steins;Gateでは、それを世界線の収束という形で説明している。

その収束から逃れて、誰もが幸せになれる世界線「Steins;Gate」を目指すのだが、そこに至るまでの主人公「岡部倫太郎」の苦悩が最大の魅力だと言っても過言ではない。

厨二病の彼が、徐々に「目に見えない世界線の収束」によって追い詰められていく過程で、厨二病の設定ではない「素の自分」に戻ってしまっているのが妙にリアリティがある。

物語においてリアルである必要はないが、リアリティは読者にとって共感を生む材料として必要である。

岡部の苦悩の部分がプレイヤーにとって共感出来る部分であり、それが全体として重くのし掛かってくる中盤から後半まで加速して物語を押し進める原動力となっている。

 

原作の移植であるiOS版の感想だが、原作ではアニメ版で語られなかったメールのやり取りや個別のエンディングが存在する。

ノベルゲームなので分岐があって一般的で、一定の条件を満たすとアニメ版同様のトゥルーエンドにたどり着く。

基本的に過去へメールを送るかどうかでエンディングが分岐し、過去への打ち消しメールを送らないと、延々と同じ日々を繰り返したり、誰かを救うの諦めたりするという、ようはバッドエンドにたどり着く。

アニメ版を補完するという意味では、「こういう最後もあったのか」という一面を見られるのでオススメしたい。

特に萌郁のバッドエンド(厳密には終わらずに進むが)は衝撃的で、かなりホラー要素が強く、久々に恐怖感を感じさせられた。

小学生である綯ちゃんがまさかね・・・((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル

 

2.比翼恋理のダーリン

賛否両論分かれるところがあると思うが、個人的には駄作だった。

理由として、中身はタイトルから分かるとおり恋愛要素を前面に押し出したファンディスクだったから。

前作にあった岡部の苦悩はどこへやら、過去改変しても誰も不幸にならないので、見ている側もキャラクター同士のやり取りを楽しむ「だけ」となっている。

恋愛要素が控えめだった前作に比べると、今作はむしろ「それ」しかない。

ゆえに他のノベルゲームに埋もれしまうくらいの出来の悪さになってしまい、Steins;Gateという看板がなければまったく評価に値しない内容だった。

 

3.変移空間のオクテット

想定科学アドベンチャーシリーズでいう前作のCHAOS;HEADの主人公「西條 拓巳」がハンドルネーム「疾風迅雷のナイトハルト」として登場している。

その影響でCHAOS;HEADの妄想を現実に変える能力が、そのままSteins;Gateの世界にやってくるとどうなるのかというテーマで話が進んでいく訳だが・・・。

そもそもCHAOS;HEADはアニメで見たが、妄想と現実が入り交じっていて、Steins;Gateより面白さが伝わってこなかった。

原因の一つは主人公である「西條 拓巳」に感情移入がまったく出来なかったという点で、岡部はつまるところ厨二病を演じる一般人であったことに対して、西條は真性の変人だったことが起因しているのではないだろうかと思う。

それもあってかタイムマシンをテーマとするSteins;Gateからそれを取り去って、前作の妄想を現実に具現化する要素を入れてはみたものの、物足りない感じしかしなかった。

小説版では、ゲーム版で終わるはずだった部分(おおよそ1巻目に相当)を延長して、オリジナル展開(2巻目)が続く。

そもそもゲーム版は8bit風を拘ったため、コマンド方式という今の時代では考えられない煩わしいシステムを採用しており、一部ユーザ以外に受け入れられたとは考えにくいほど、敷居が高くなっている。

故に小説版で内容だけどんな話だったのか知りたかったが、オリジナル展開を継ぎ足しても元々の素材が悪かったとしかコメントのしようがない。

気になる人は読めば良いと思うが、オススメはしない。

 

4.負荷領域のデジャヴ

劇場版である「負荷領域のデジャヴ」は友人に誘われて、運良く劇場で見ることが出来た。

紅莉栖視点で物語は進行し、原作及びアニメ版で語られなかった1年後が描かれた。

見る前は蛇足になるのではないかと不安だったが、最終的に綺麗にまとめられており、また今まで岡部視点で動いてたのが、紅莉栖視点で話が進むのは新鮮である。

他のスピンオフ作品に比べると完成度は高かったので、見て損はしないだろう。

小説版では、1巻目でトゥルーエンドの後日談(小説オリジナル)、ロサンゼルス編(アニメスペシャル)、元旦(小説オリジナル)と1年後に至るまでの補完が綺麗にされており、劇場版を見た人でも満足出来る内容に仕上がっていた。

合わせて読んでもよし、劇場版を見ずに小説版のみでもいいかもしれない。

 

5.円環連鎖のウロボロス

そして現在進行形で読んでいる「円環連鎖のウロボロス」だが、これは原作のノベライズである。

ただしいくつか改変があり、原作やアニメ版とは少し違うところが多々ある。

例えばラジ館が消えたり、フェイリスの父が生き返らず、世界線変動率も複数の数字が重なっていたりなどなど・・・。

1巻ではそれが謎かけのように張り巡らされており、2巻でその差異を解き明かしていく展開となっている。

原作をプレイ済だったが、それら変更点がどのように影響してくるのか予想し、結末を迎えるのも中々良い。

ただ、巻末で筆者が語っている通り、原作とは異なる点がいくつかあるため、原作やアニメ版しか見てない人と会話すると一致しない箇所が出てくるので注意とのこと。

ページ数が非常に多いので、読み応えがある。

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